はじめに
今回ご紹介する「薪ストーブのショールーム」は、この2つ前の作品、
「おばあちゃん羊と孫羊の薪ストーブの部屋」が作陶のきっかけとなりました。
上記作品を作陶中に、
”もっと、いろいろな薪ストーブを作ってみたいなぁ”
”いろいろな種類を作るのなら、薪ストーブのショールームにしようかな”と思ったのでした。
これまでの作品は、
特こし陶土(白くて、作りやすい陶土)で成形して、下絵具で着色し釉薬を掛ける・・・という方法で作っていましたが、
今回の作品は、陶土が3種類、仕上げの下絵具とは別に釉薬が6種類と多くの素材を使い分けました。
また、狙った色や質感を出すために、酸化焼成と還元焼成の両方を用いました。
そのため、やる事が多すぎて、頭がこんがらがりそうになりました。
では、作陶のプロセスをご覧ください。
「ダルマストーブ」のエピソード
まずは、いつものように建物から作り始めました。
床は、フローリングをイメージして木べらで直線を描いていきます。
ショールームの室内がカラフルになる事が予想されたので、
壁は白壁にすることにしました。
つるんとした白壁ではつまらないかな・・・と思い、
以前公園で拾ってきた「とちの実」を使って凹凸をつけてみました。


壁に棚を付けた後は、いよいよ薪ストーブ作りです!
大きさや形の違う薪ストーブを4種類作りましたが、
ショールームの中に入りきらなくなり、
最終的には3つの薪ストーブを設置しました。


ダルマストーブを成形していると、ベテラン会員さんが、
「わ~!ダルマストーブ!懐かし~」と、目を細めて言いました。
そして、ダルマストーブの思い出話をされました。
「小学生の頃、学校にダルマストーブがあったの。」
「ストーブで牛乳を温めたり、ストーブのそばにある棚がお弁当置き場だったの。」
「嫌いな先生が教室に来る前に、ストーブに薪をいっぱい詰めちゃうの。」
「そうしたら火が消えちゃうから、先生が”あれ?おかしいなぁ・・・”って言って、困らせてやるの。」と、にやにや(笑)
すると、話を聴いていた別の会員さんが、
「うわ~、悪い子~!そんないたずらしなかったわよ~」
と談笑し、和やかな雰囲気になりました。
私の作ったダルマストーブから懐かしい思い出が甦ってこられたようで、嬉しくなりました。
へとへとになった仕上げ作業
さて、薪ストーブ作りの後は、棚に置く小物を作りました。
小物作りで使った材料や仕上げ及び焼成方法について、以下にまとめました。
陶芸をされている方の参考になれば・・・と思います。
| 陶土(磁器土) | 仕上げ方法 | 焼成方法 | 結果 | |
![]() | 楽赤土 | 黒マット釉 | 還元焼成 | 鋳物感が出て、満足しました。 |
![]() | 楽赤土 | 黒マット釉 | 還元焼成 | 同上 |
![]() | 特こし土 | 下絵具→透明釉 | 酸化焼成 | ホーロー仕上げの薪ストーブですが、その質感が出せませんでした。 |
![]() | 特こし土 | 金彩釉 | 酸化焼成 | ゴージャスで、面白い仕上がりになりました。 |
![]() | 特こし土 | 下絵具→透明釉 | 酸化焼成 | いまひとつ・・・「ホーロー感」を出す方法が課題です。 |
![]() | 特こし土 | マンガン釉 | 酸化焼成 | 金属っぽい質感にはなりましたが、粉状のマンガン釉の溶き具合や塗り方が分からずムラのある出来になりました。 |
![]() | 特こし土 | 下絵具→マット釉 | 酸化焼成 | ”おっ!皮っぽく仕上がっている!”と、嬉しかったです。 |
![]() | 磁器土 | 透明釉 | 酸化焼成 | 花瓶の質感が出ました。 |
![]() | 特こし土 | 黒マット釉 | 還元焼成 | 質感は良かったですが、成形がいまひとつです。もう少し綺麗に作りたいです。 |
![]() | 特こし土 | 下絵具→透明釉 | 酸化焼成 | 透明釉を掛けましたが、ホーロー鍋のつや感が出ませんでした。 |
![]() | 特こし土 | SC釉 | 酸化焼成 | SC釉という、釉薬入りの下絵具で仕上げました。3つの鍋の中で1番良かったです。 |
![]() | 特こし土 | マンガン釉・下絵具 | 酸化焼成 | まあまあでしょうか。 |
作業が多すぎて、頭が混乱しました。
全ての作業を終えた時は、へとへとになりました。
いよいよラストスパート
最後に、ショールームのオーナーとお客さんを作りました。
オーナーは、どっしりとした大型犬のセントバーナードに、
お客さんは、愛嬌のある顔立ちのブルテリアにしました。
お客の「ブルさん」がじっくりと薪ストーブを選んでいて、
オーナーの「バーナードさん」は後ろからそっと見守っている構図にしました。
ある方が、完成した「薪ストーブのショールーム」にこんな感想を寄せて下さいました。
「ブルさんの人間味あふれる物欲しげな表情と恰好・・・
この店には確かなものしか置いていないというバーナードさんの誇り高い表情と立ち姿。
この一場面で”物語”ができているね!」
バーナードさんのくだりに思わず吹き出してしまいましたが(笑)、
そう言われてみると作品がそのように見えてきて、
不思議な気持ちになりました。



「薪ストーブのショールーム」
おわりに
お読みいただき、ありがとうございました。
次回は、2026年3月制作の「平飼い養鶏場 パグファーム」の作陶秘話をお伝えしたいと思います。











