はじめに
2025年10月に「大きな木の丘」という作品を作りました。
この作品は、私が大変お世話になっている方の少年時代のエピソードが原型となっており、
その方にプレゼントしたいという思いで、その年の5月から制作を始めました。
しかし、傾斜のある丘に木を立てる方法を確立するまで試行錯誤が続きました。
また、土台部分の丘が素焼き中に爆発する!!というハプニングもあり、
結局、完成までには6カ月もの月日がかかりました。
今回は、どのようにしてこの、「大きな木の丘」が完成に至ったのか、
そのプロセスをお伝えしたいと思います。
作品が窯の中で爆発!
「大きな木の丘」は、丘の頂上に大きな木が立っており、
その木陰で動物が大の字になっているイメージで作り始めました。
木の幹と葉っぱは、空洞で作ります。
作ってみるとかなりの重量があったので、
土台の丘も空洞で作ると、上にある木の重さで丘が陥没する可能性がある、
と陶芸教室の先生にご指摘を受けました。
先生曰く、陶土というのは乾燥して固くなっても、
窯で熱せられると一端柔らかくなるそうです。
そこで、丘は無垢のままにして、その上に木を立てる事にしました。
その後、大の字になっているネコと、リスや小鳥も作りました。
これを乾燥させて素焼きしたところ、割れて壊れてしまいました。

葉の部分は無傷で残っていました。

失敗の原因は2つ考えられました。
原因その① 乾燥不足
作品が乾いたように見えていても内部に水分が残っていて、
焼成中に水蒸気となって爆発を起こす。
原因その② 土練りの不備
土練り(一番最初の陶土を練って空気を抜く作業)が出来ておらず、
陶土に残っていた空気が焼成中に膨張して爆発を起こす。
原因②の可能性もありますが、
私としては原因①の可能性が高いと感じました。
「無垢で作ったものを焼く」というのは、壊れるリスクが高いのだな・・・と身に沁みました。
今は、このように冷静に語れますが、
当時はかなりのショックを受けました。
作品が壊れた事もそうですが、
窯の中には他の会員さんの作品もたくさん入っていたので、
私の爆発して飛び散ったかけらが、数名の方の作品を壊してしまったのです。
大変申し訳なく感じたと同時に、
きちんと作陶しないと怖いな・・・と思いました。
ついに、「大きな木の丘」が完成
大失敗を経験して、慎重に作るようになりました。
まず、いきなり本番の大きな作品を作るのではなくて、
小さな作品で試作してみることにしました。
傾斜のある丘に真っすぐに木を立てるのは難しく、
先輩会員さんにアドバイスを受けながら、
何度も試行錯誤をしました。
最終的には、「空洞で作った丘の一部をくり抜き、そこへ木をはめ込む」
という方法にたどり着きました。


こうして丘を空洞で作り、かつ木を安定して立たせる方法を確立してから、
いよいよ本番の「大きな木の丘」を作陶しました。

木陰で大の字になっています。

その様子を見つめています。


身を寄せ合って見守っています。

おわりに
お読みいただき、ありがとうございました。
”失敗はしたくない”・・・と考えがちですが、
失敗して痛い目にあったからこそ、そこから沢山の学びが得られます。
初めの頃より、失敗を恐れない自分になってきたように思います。
では、次回は2025年10月(同時期)の作品
「おばあちゃん羊と孫羊の薪ストーブの部屋」の作陶秘話をお伝えしたいと思います。